プロジェクトゲーム 5 ラブストーリー
そして、2週間後イラストレーターの蟻ノ巣氏が奥さんを伴ってやってきた。
奥さんとはセントラルパークで絵を描いていた時知りあって結婚したらしい。
僕は奥さんと蟻ノ巣氏の出逢いの話しを感動しながら聞いていた。その話しは何か映画か小説になりそうなラブストーリーで現代ならブログになりそうなストーリーだと思った。
おっと、それはともかく蟻ノ巣氏の完成したパッケージイラストを見て驚いた。エネルギッシュな作風は知っていたが完成したイラストはまさに驚きものだった!。
イラストと言うより現代アートと表現したほうが当たっているかも知れない。
とりあえずこの作品をダッコ社の担当者にみてもらう事にした。
アポはすぐ取れたので、すぐに社長とBMWでダッコ社に向かった。会議室で担当者に蟻ノ巣氏のイラストを見せたら全員感激していた。空気はこのゲームが大ヒットするのが間違いなしだった。
ここまで描いてデザインとイラストだけで大ヒットを決めるのは早すぎると思う人もいるかも知れないが、これが間違いなくヒットする結果になった。
というか、僕は最初から内容はともかく大ヒットするデザインを目指していた。何故なら玩具売場でゲームパッケージは何も言わず来た客にそのデザインで語りかけるしか無いからだ。
蟻ノ巣氏のイラストに版下を付けて、社長が早々と製版屋に回した。【プロジェクトゲーム】のゲーム内容がまだ全然完成していないのにと思っていたが、僕も校正刷りが早く見たい気持ちはあった。イラストはそのまま反射原稿として製版され2日後には僕の手元に届いた。完全な校正刷りだった。とにかく印刷物なので原画よりは迫力が劣るがとにかくそれを写真にとっておいた。
(この時はその写真が遥かな時を経て役立つ時が来るとは夢にも思わなかった!)
こうしてパッケージはもう製品化を待つだけだったが、肝心のゲーム内容はまだまだゴールには近づかない。
一応納期は2ヶ月先なので焦る事は無いと、毎日女性スタッフとゲームを楽しんだ。いや、ゲームに集中する仕事に取り組んでいた。